Hristos se rodi!

松の内もあけようかという頃になってクリスマスの話もなんですが、今日はセルビア正教のクリスマスイブ。 東欧の正教会は、ギリシャルーマニアブルガリアなど多くが新暦を受け入れた中、セルビア正教はいまだ2週間遅れの旧暦をかたくなに守っています。 賛否両論あるそうですが、まあその話は置いといて。


イブもクリスマス当日も、家族で過ごすのが基本。 イブの日の飾りつけは独特です。 まずこの日の朝早く、一家の主人が森から樫の木の枝を取ってきて部屋に飾ります。 うちは裏の山から取ってきましたが、街中で売られているのもよく目にします。 そして、部屋の四隅に殻付きのクルミを1個ずつ置きます。 そのルーツは聖書にあるらしいのですが、ダンナサマもよくは知らないそうです。
樫の木の枝
樫の木の枝は、この日のうちに暖炉で燃やします。


他の慣わしで聞いたところでは(家々で細かな違いはあるかもしれませんが)、鳥の巣に見立てて藁を丸く形作ったものを床に置き、お父さんが雄鶏、お母さんが雌鶏、子供がヒヨコのマネをして一列になって「コケー、クワッ、クワッ、クワッ」「ピヨピヨ」などと鳴きながら藁の周りをグルグル回る、っていうのもするんだそうです。 なんかカワイイ。


敬虔な信者は、クリスマスの6週間前から肉・卵・乳製品(魚はOK)を断っています。 今日はその最後の日ということで、多くの一般の家でもディナーは魚料理になるのだそうです。 そして明日は待ちに待ったクリスマス。 セルビアお得意の豚肉をメインとしたズッシリコッテリのごちそうが食卓に並ぶことになります。


全然敬虔じゃないバチ当たりなウチは、イブの今日、鶏一家のマネも魚料理もしませんでした。 魚料理くらいしてもよかったんだけど、はっきり言って忘れてたんです。 私が。
そしてブッシュ・ド・ノエルなんかを作ったりして、あんまりセルビア風じゃないのもまずいかなーと、樫の木の小枝をあしらってみました。
ブッシュ・ド・ノエル


セルビア語でのクリスマスのあいさつは「Hristos se rodi!」(フリストス・セ・ロディ; 主がお生まれになった)。 応えて言うのは「Vaistinu se rodi!」(ヴァイスティヌ・セ・ロディ; まことにお生まれになった)です。
キリスト様は一人なのに、カレンダーの都合で別の日に誕生日を祝われるというのもちょっと面白いですよね。 サンタさんも、セルビアに寄るのは世界中を回った後で一休みしてからって感じなのかな。