Hleba i igara

おとといのことになりますが、サッカーのワールドカップ予選リーグでセルビア・モンテネグロボスニア・ヘルツェゴビナを1-0で下し、来年のドイツ大会への切符を獲得しました。
聞いたところによると、前回のワールドカップ、昨年のヨーロッパ選手権と連続して出場していないので、国民の期待は非常に大きかったとのことです。
ベオグラードなどでは勝利を祝う人々が街に繰り出して、それはもう大変な騒ぎ。 いつぞやご紹介したPINK TVでは、その模様を延々と中継していました。 中心街では特設ステージを囲んで狂喜乱舞する人たち。 大通りでは車の窓から旗を振り回してクラクションを鳴らすファン達のパレード。 空中に向けて発砲する音まで聞こえたようです。 こわいわー


実はその晩PINK TVでは某映画を放映する予定だったのですが、あのお祭り騒ぎのライブ中継となり、サッカーに興味のないうちのダンナサマはご機嫌ナナメ・・・
彼いわく「ローマ時代から言われてる“Hleba i igara”*1を思い出すよね。 お腹を満たして何か見世物さえ与えておけば、本当に大事な問題に目を向けることなく幸せになれる人がそれだけ多いってことさ。 ミロシェビッチのときとおんなじ。 国がどんどん悪い方向に傾いていくときに、アイツは民衆への目くらましに大会を開いたり大演説を打って人々を熱狂させてたんだよ。 そうやってたくさんの人が簡単に操作されていったんだ」。
ひぇ〜、そ、そんなにシニカルにならなくてもー。 たまにすごくうれしいときくらい、はしゃいだっていいじゃんと私は思うのですけどね。


何を以って「一般的」とするかは難しいですし、そもそも色んな人がいて当たり前なんですけど敢えて言うと、常々思うに彼には他のセルビア人に見られるいくつかの特徴と違うところがあるみたいです。 私は、彼のことは何人だとかいう以前に一人の人としてとらえてるからあんまり関係ないけど。 むしろもし彼が「私がこっちに来て初めて知ったセルビア人の典型」だったら、彼のことを好きになったかどうか・・・(ぼそっ) あ、いやいや、まあ彼のようなセルビア人もいるということで。


閑話休題。 原則、スポーツには政治を持ち込むべきではないと言われるし、私もそれが理想だと思います。 一方、大きな国際大会の裏には多かれ少なかれ政治が絡んでるのは現実として誰もが認めるところ。 NATOのユーゴ空爆があったとき、当時名古屋で現役のピクシーが試合中に「NATO STOP STRIKES」と書いたシャツを見せて抗議したときは批判を浴びましたが、じゃあ旧ユーゴが国際社会からの制裁で92年の欧州選手権出場権を剥奪されたことにはどう説明をつける?


政治とスポーツが切っても切れない関係にあるのだということを前提にすると、おとといのお祭り騒ぎも、やっぱり何か政治的思惑があるのでしょうか。 来年のワールドカップに向けて世界中が浮かれているその裏で、何かすごいことが着々と進行してたりしてね・・・?

*1:直訳: パンとゲーム。 元々はラテン語の「Panem et circences」(パンとサーカス)のようです