ダンナサマとバトル

それはテレビでやっていたB級映画をなんとなく見たことが発端でした。


ダンナサマは映画のストーリーにおけるご都合主義が大嫌いなたち。 SF映画は好きだからその設定は認めても、そこでのリアルを追求したい人です。 今回も最後の爆発シーンでヒーローが無事助かってしまうのを見て「あの爆発で主人公の逃げ道だけ火が迫ってこないのはおかしい!」と言い始めました。 
2人とも映画好きでよく一緒に見るわけですが、毎回毎回「あの曲がり方で車のタイヤがあんなにキィーとかいうわけない」とか、「ケッ、宇宙空間なのにロケットの轟音がしてるよ」とか、それはもううるさい。 そのたびに私は「たかが映画じゃん? 楽しんでるのを水を差すようなことアレコレ言わないでくれる?」と返しています。


今回もまただよと「だって映画なんだもん」とやり過ごしてたんだけど、「映画だからって何でもいいのか? 例えば妊娠1ヵ月半で赤ちゃんが生まれるとか? だいたい僕はね、そんなアメリカ映画のいかにも観客をバカにした態度が大キライなんだ!」と、いつもの文句だけじゃどうも気が済まない様子。
もちろん私だって、どんなバカ映画でもヘラヘラ楽しめるわけじゃないです。 でも彼の文句ときたら重箱の隅をつつくようなものも多い。 それに、せっかく人が楽しんでる横でそうシニカルにこき下ろすのを聞くと、自分もバカにされているような気がしてきてしまうというものです。 なので、こちらも少し極端に反論。 「ストーリー上大事なのなら妊娠1ヶ月で赤ちゃんが生まれてもいいと思うけど? だって映画そのものが、元々フィクションなんだから」 「フィクションなら何でもいいのか!? 作り手が『この程度でバカな観客は喜ぶんだ』って思っているのがムカつかないのか?」 ...etc.


彼はさらにアメリカの商業主義批判へとエスカレート。 「例えばウォルト・ディズニーの芸術は認めるけど、ディズニーランドの金儲け主義は許せない。 とにかくカネを搾り取ろうという魂胆が見え見え。 日本人がディズニーランドに嬉々として訪れているのを見たときは本当にガッカリした」・・・
う〜ん。 果たしてそうかなあ? 確かに料金やグッズ、食べ物の値段も安くはない。 でもディズニーランドを訪れる人は、ぼったくりも(しぶしぶ)承知の上、「夢の国での非日常」を楽しむことを目的として、その対価を払っているというのが私の考え。 
彼は続けます。 「それはバカなアメリカに洗脳されすぎ。 だいたいヨーロッパの人はね、そんな楽しみ方はできないものなんだよ。 パリのディズニーだってうまくいってないだろ?」


がーん。 彼を日本に呼んだとき東京ディズニーランドにも連れてったんだけど、そんなに楽しくなかったのか。 悲しくなって「そうだったの・・・?」と聞くと、「あわわわ、いやその、あの時はあれで楽しかったよ、だって2人一緒だったし」とあわててフォロー。 そんなわけでこのバトルもしゅうぅぅ〜としぼんでしまったのでした。
で、とにかく「映画は黙って観ること。 文句ならあとで」と約束させることで決着。 勝ったね。(?)


その後少し考えて気付いたこと。 ほぉ〜、違いはここか。
どうやら私には、リアルな日常から離れることでストレスを解消する傾向があるようです。 おバカハリウッド映画でも見るならとりあえず楽しんじゃえ。 ディズニーランドでもまあ夢の世界を堪能できる。 ボバン湖の「不自由さもまた楽し」なレジャーもいいけど、やっぱりリゾートホテルの優雅なバカンスにあこがれる・・・。
一方、リアルさから離れてはどうも楽しめない彼。 かえってストレスがたまるんだろうな。
もちろん2人ともヨーロッパ人や日本人を代表するわけじゃないし色んな人がいて当然だけど、乱暴に風呂敷を広げると、もしかしたらここに日欧差の一つがあるんではないかと思いました。 大げさすぎ? ただの男女差か。


それにしてもリアルなんて、日々の生活で十分だと思うんだけど。 ビバおバカハリウッド。 (やけくそ)