お怒りコメント

4月12日の記事で書いたことに、大変なお怒りのコメントをいただいてしまいました。
このブログとは別に運営しているサイトのBBSに書かれたので、こちらに移しました。 (もう一人、別の方のコメントについても苦言を呈されていたのですが、ここではその方を名指しした部分は省略しました)
どんなコメントもありがたく拝聴すべきではありますが、かなり誤解されているようにも思え、ちょっと驚いたなーというのが正直なところ。 でも、とてもまじめに書かれているので、まじめに対応したいと思います。
お怒りのコメントを下さった のい さんも、ここを読まれていることと思います。 これからもご意見うかがいますので、どうぞご遠慮なく。

管理人様、○○様
こちらはセルビアのバレーボール選手を応援するサイトですが、あなた方の以下の書き込みに私には怒りが湧き起こり、そして強い疲労感を感じております。
1ヶ月気にしないようにしてましたが、我慢しきれません。 意見させてもらいます。

私が腹が立った書き込み

「管理人様の4/12の日記↓より
>映画が高いから、ソフトが高いから、お金がないから、そんな理由でこういうことを繰り返していては、結局悪循環でいつまで経ってもこの国は豊かになれず、三流国家のまま。 EU加盟を夢見ていても、夢で終わるのでしょう。

>がんばれ、セルビア
私は、セルビアというとchiharuさんがおっしゃっている混乱(紛争?)が絶えないというイメージがあるのですが、治安の方は大丈夫ですか?なんだかいつも質問ばかりですみませんm(__)m」

以下、私の意見です。長文で申し訳ありませんが、どうぞご一読ください。
ぜひ、木村元彦著、「悪者見参」「誇り」を読んでいただきたいと思います。
 悪者見参↓(amazonです)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4087473368/qid=1116087121/sr=8-2/ref=sr_8_xs_ap_i2_xgl14/249-0590423-3214712
誇り↓
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4087472450/ref=pd_bxgy_text_2/249-0590423-3214712

以下、内容の抜粋です。
ユーゴスラビア連邦崩壊が始まって以来、この民族に対して国際社会が与えた仕打ちの不公平さはまさに筆舌につくしがたい。国際法廷で、メディアの世界で。検証すればするほど覆い隠されてきた意図的なセルビア叩きの歪んだ事実がいくつも見えてくる。
世論はセルビアだけを鬼か悪魔のように言い募り、もろもろの国際機関は言うにおよばず、日本の平和運動のなかですらこの紛争に疲弊したこの民族に対する差別発言はよく見受けられた」(悪者見参あとがきより)
ユーゴ紛争が始まって、セルビアと戦っていたクロアチア政府が米国の広告宣伝会社と契約し、その会社は「民族浄化」というキャッチコピーを作り、すごく売れました。セルビアの加害行為だけが報道され、被害はほとんど報道されませんでした。
セルビア=悪とされ、国連から追放され、経済制裁のため、石油も食料も薬も入ってこず、セルビアの民間人は大勢死んでしまいました。
子供たちも風邪薬が手に入らないため、たくさん命をおとしました。
風邪薬が手に入らないため、です。そばについて手を握り、汗をふき、体をさするしか無い両親はどんなに苦しかったでしょう。
その国連に、ユーゴのサッカーチームは経済制裁後、挨拶にいかねばならないのです。
経済制裁を科した本部に友好をテーマに訪問する彼らの気持ちはどんなに悔しいでしょうか。
99年の3月〜6月のユーゴ空爆で、3千人が勤務する科学コンビナートが何度も空爆され、大量のアンモニウム、水銀等が大気やドナウ川に流出し、妊娠中の女性に、出産はあきらめてくれと通達がありました。正教徒であるセルビア人にとって、堕胎は神に背く大罪なのです。結婚5年目でやっと懐妊したと喜んでいた女性は、悩み苦しんだ末、流産してしまいました。
いま、コソボではアルバニアのゲリラが暴れまくっています。
アルバニアゲリラはセルビア人女性をアルバニア住民の広場に引きずりだし、爆竹をその女性の中に突っ込み、その女性が泣き叫んで暴れるのを、皆に手を叩いて囃し立てるようにいいました。住民はしぶしぶ手を打ったそうですが。
コソボでのアルバニア人に対する、セルビア人の虐殺を止めるため、というのが空爆の理由ですが、空爆前からセルビア人の民間人だってアルバニア人のゲリラに殺されてます。でもそれは報道されません。
セルビア人がアルバニア人を虐殺したのはほとんどが空爆後です。
NATOはそのアルバニア人のゲリラを、正義の軍隊として、武器援助しました。これももちろん報道されていません。
コソボでは、セルビア人に対する民族浄化が行われ、NATOは一切セルビア人を助けてくれず、あるセルビア人の老人はアルバニア人に囲まれている家から出れず餓死、子供は川で遊んでいたところ、ゲリラに頭を打たれて死亡。
アルバニア人の12歳の子供を米軍兵士がレイプして殺害、なんて木村さん以外どのメディアも報道しませんね。空爆時にユーゴに打ち込まれた劣化ウラン弾ですが、
(広島、長崎に投下された原爆よりもすごい濃度の、核から作られる武器)ニシュあたりもすごい落ちてますね。
(私、ニシュ出身のストイコビッチのファンです。ご両親、ニシュに住んでいるのです)
劣化ウラン弾については、森住卓さんのサイト↓をぜひご覧ください。
  http://www.morizumi-pj.com/
ニシュの近くの劣化ウラン弾の被害については、中国新聞の↓のサイトをどうぞ
  http://www.chugoku-np.co.jp/abom/uran/index.html
15日の昼に朝日で劣化ウラン弾の特集があるけど、コソボについてはふれないなあ、多分。イラクのみでしょう。

NATO加盟国総人口6億に対し、セルビアは総人口1千万です。
↑は岩田昌征氏の著書に書いてありました。ほんと嬲り殺し以外のなんでもない。


管理人様は

>映画が高いから、ソフトが高いから、お金がないから、そんな理由でこういうこと(違法コピー)を繰り返していては、結局悪循環でいつまで経ってもこの国は豊かになれず、三流国家のまま。 EU加盟を夢見ていても、夢で終わるのでしょう。

なんて書いてますが、EU経済制裁で風邪薬ももらえずセルビア人は死んでいったのに、EUなんかに加盟したくないでしょう。
セルビア人とくれば、いまだに「民族浄化だ」「友達にクロアチア人がいるけど、君たち殺したんだよね」なんて、セルビア人は言われますよ。(日本に留学中のセルビア人の女の子がイングリッシュパブでこう言われました) 平和な日本で生きてきた管理人さんが、ここまで言う資格はありません。

>がんばれ、セルビア
私は、セルビアというとchiharuさんがおっしゃっている混乱(紛争?)が絶えないというイメージがあるのですが、治安の方は大丈夫ですか?

がんばれ、セルビア・・・
私は無知は罪だ。なんてえらそうに言える人間ではないけど、あなた無神経すぎます。
混乱(紛争?)が絶えない国、とユーゴのことを認識されてるんでしょうが、じゃあNATOがやったことはどうなの?
NATOのほうがセルビアよりよっぽど性質が悪い。 がんばれ、セルビア!なんて、もうがんばれません。
これ以上、なにをがんばれというの?  彼らは生きていくのが精一杯です。
ラスベガスに遊びに行ける、裕福な人の見下した視点は本気で消耗します。

お二人は、あんまり知らないから、酷い差別をうけたセルビアの人たちの傷口に塩を塗り込むまねをしていらっしゃる。
最後に、私は木村元彦氏とは何の関係もありません。ただの読者です。 
長々とすみませんでした。
でも、セルビアが好きなんでね、セルビアのバレー選手が好きなら、彼らがどんな目にあったか少しでいいから知っといてください。


なお、私からの最初のご返事として下記のように書きました。

のいさんへ
ご意見ありがとうございます。 のいさん、セルビアがホントに好きなんですね。
いや〜でも、正直驚いた、というのが本音です。 なんだかんだ言っても、私も結局セルビア好きなんです。 最初はまあまあ好きで、セルビアに住み始めてから一旦色んなことにウンザリして、また徐々に好きになってきてる、って感じかな。 好きだから、厳しいことの一言も言いたくなるんですよ。
なんだか、文章の一部にこだわられて誤解されているように思いました。 みんなモラルを持って、お金をきちんと払うべきところは払って、自分たちの経済全体を盛り上げていかなくちゃだめだよ、というのがあの日の日記の趣旨のつもりです。 もっと全体を読んで戴ければ、分かっていただけるかなあと思うんですが、舌足らずで誤解を招いたのならすみません。
暗くなるんで(?)ブログじゃ書いてませんけど、うちはまず、裕福とは程遠ーいです(泣)。 ま、「裕福な人の見下した視点」から言ったのでないということだけは分かっていただきたいなと思います。

ちなみに私もピクシーのファンですよ。 彼の本は数冊持ってますし、木村氏の執筆も読んだことがあります。 また、のいさんが書かれたセルビアの悲しい事実も全然知らないわけではありません。 それ以外のことも。

EUなんかに加盟したくないでしょう。

憶測でおっしゃってるんですね。 これだけははっきりしていますが、それは違います。 今セルビア・モンテネグロは、EUに加盟するために懸命に働きかけています。 それが本心ではないとお考えですか。 過去にこだわって、今のまま他国より立ち遅れた、不自由な生活を続けたいとでも?
現実に生きている人々は、もっとしたたかです。 極端に言えば「大切なのは過去よりも今の生活」なのです。実際すでに、セルビアの実生活では、自国通貨ディナールよりもユーロのほうがはるかに信頼されています。

もちろん、いろんな考えの人はいます。 でも大多数の人は、セルビア・モンテネグロが今欧州で一番立ち遅れた国の一つであることを自覚し、早くEUに加盟して経済的に浮上することを期待しています。 そして、質のよいものを適正な金額で手に入れたい、西側と自由に行き来できるようになりたい、少しでも今の貧しさから脱したい、などなど、そう強く望んでいるのです。 「もうがんばれません」なんて言ってられない。 がんばらないと生きていけないんです。 それが現実というものです。

なお、EU経済制裁の背景にはアメリカの強い後押しがあったことや、空爆をしたNATOも実態としてはほとんどアメリカ中心であったこと、そして、旧ユーゴ諸国のEU加盟はドイツ主導で始まって復興の大きな力となっている(そしてセルビアも早くそうなって追いつきたいと心底思ってる)ことなど、のいさんはご存知ですか? ちょっと、アメリカとNATOEUをひとからげにされてるフシがあるような。
でもこのことすら、色んなことの単なる一側面にすぎません。 ドイツだって、EUで大きい顔をしたいという下心があるのもかも知れません。 こういうことって、どんなに議論を尽くしても十分とは言えないですよね。
とにかく、のいさん、本を読むだけでは分からないこともたくさんあるということです。 実際にセルビアで暮らしている私も、見える範囲は一部分だということを自覚し、できるだけいろんな人の話を聞くよう心がけたいと思います。

なお、ブログを読まれてのご感想のようですので、しばらく後、のいさんのご意見はそちらに移して、今後もそこで伺うことにしたいと思います。 バルカン仲間がいますから議論のしがいがありますよ。
可否のご返事がいただけなくても、このBBSでは管理人の権限を使わせていただきますので、すみませんがご了承下さい。