Slava

セルビア正教徒の家庭には、それぞれ守護聖人がいて、その聖人のことをスラバ(Slava)といいます。 「聖○○の日」は何月何日と年に一度決まっていて、我が家の聖人の日には親戚や親しい知人を自宅に集めてご馳走を振舞いますが、そのお祝いもスラバと呼ばれています。 
ダンナサマが結婚式のKum*1を務めた親友のおうちで、先日スラバがあって一緒に行ってきましたので、その様子をご紹介したいと思います。


始まるのはだいたい夜8時9時の遅い時間。 招かれる方は、ワインとかお花などのちょっとした手土産を持参して行き、玄関で出迎えられるときに「Srećna Slava!(スレチュナ・スラバ; スラバおめでとう)」とあいさつします。
席に着くとまずジト(Žito)を差し出されます。 ジトとは、ゆでた小麦とくるみを砕いたものに砂糖を加えて練ったものです。 十字を切って再度「スラバおめでとう」と言い、一さじ口にします。 麦みそのようにねっとりとしつつ粒つぶがある口当たり。 そして味はちょっと甘くて・・・なんとも表現しがたいです。
ジト


後は普通のホームパーティーと同じ感じ。 飲み物を勧められ、少しおしゃべりした後でご馳走タイムの始まりです。
ごちそう!


今回お料理の写真はあまり撮りませんでした。 まあとにかく、食べきれないほどの料理を出すのがおもてなしだという考えなので、サラダ、肉料理、付け合せのパイなど、おなかいっぱいになります。 その後必ずデザートも出ます。 こちらのケーキは甘ーくて、ずっしり重めのものが多いです。 たくさんの種類が一口サイズにカットされて大皿に盛られ、めいめい取って食べます。
そうして2、3時間をすごした後、スラバはお開きになります。


スラバの飾りつけもあります。 Slavski Kolač(スラブスキ・コラチ; スラバケーキ)という大きめのパンとワイン、ろうそくを守護聖人像の前に飾ります。 ジトにはそれぞれの家のレシピがあるそうですが、スラプスキ・コラチは今はお店で買ってくる人も少なくないとのこと。 飾るだけでなく当日やその後にかけて食べます。 
スラブスキ・コラチ


12月から1月にかけては、スラバが集中していて週に何回も招かれることもあり、またクリスマスや新年パーティーもありますから、夜遅い時間に重い食事をして帰って寝るだけという日が多く・・・ 一冬終わると確実に体重が増えているのが辛いところ。
先日イースターの日記でお話したときと同様、スラバも社会主義国時代には下火でしたが、ここ十数年の間に大きく復活した行事の一つだということです。 なお、スラバは家々で決まっていますが、例えば子供が独立して新しい家庭を作ったときには、一応教会と相談しますが自分の好きなスラバを選ぶことができるんだそうです。
うちのスラバは10月27日です。 ジトやスラブスキ・コラチ以外、別に料理に決まりはないそうで、おすしとか和風料理を加えてもてなすのもおもしろいなと、今から楽しみです。


ボスニアのドボイで主婦をされているわはは大空さんの「わはは一家のDoboj滞在記」でも、スラバのことを書かれているのでどうぞ。 最初に勧められるジトも全然こちらのと違ってて、おもしろいです。 こちらは1さじだけだけど、あちらは3回すくって食べるんですって。  → 乾杯って楽しいね^^

*1:セルビア正教では、洗礼や結婚式など教会がかかわる式では大抵、親しい友人などにKum(クム)という立会人になってもらうのが慣わしで、これを頼まれるのはとても名誉なことです。 そして、世話をした方もされた方も、お互いを「クム」と呼び合って、その絆は親兄弟に劣らないほど固いものなのだそうです。