コピー天国

今私の手元に、CDとDVDがあわせて十数枚あります。
友達が貸してくれた映画なんですが、これが全部違法コピーなのです。 「マトリックス・リローデッド」は、中国語の字幕つき。  画質はピンキリですが、大抵あまりよいとは言えず、「シャーク・テイル」なんかは最悪。 映画館のスクリーンを隠し撮りしたもので、時々人の影が映ってました。


映画のファイルとセルビア語字幕は別ファイルで入っていて、映画と字幕のファイルを同時にプレイして見られるソフトが無料でダウンロードできます。 ウェブで検索すると大抵の映画の字幕を見つけることができ、これも無料で手に入ります。 英語字幕はほとんどの映画(英語の映画でも)を網羅していて、セルビア語も結構あります。
ニシュには映画館が数軒ありますが、結構話題のハリウッド大作でも上映されないことがあります。 でも、いったいどういうことか、違法コピーのCD/DVDは、国内で上映されないものも含めて、かなり早い段階で出回るのです。 そんなわけで、こちらに来てからというもの、実は映画館に行ったことはないのですが、大抵の新作映画は見ることができます。


映画を違法コピーで見る人が多いというのは以前から知ってたけど、日本にいた頃に目にすることはなかったし、所詮アンダーグラウンドの話だと思ってました。
だけど、こちらではそれが当たり前のことのように行われていて、正直面食らいます。 ダンナサマの職場が大学なので、友達に学生が多いせいなのかもしれないですが、ちょっと声をかければ簡単にどこからか手に入ります。 露店で安ーく売られていることもしばしば。 彼らに言わせると、「映画館の設備があんまりよくないし、ただで手に入るんだから自宅でゆっくり見られるほうがいい」。 自分もタダで見ておいて何ですが、あんまり度が過ぎるようで、疑問に思えてきました。


やっぱり、映画って、大きなスクリーンで楽しむように作られてるわけで、それをこんな劣化コピーで見るというのは作り手の気持ちに反してると思うのです。 お金を払うという行為も、何も役者や監督だけを儲からせるだけではない。 映画館やそこで売られるポップコーンとか、そういうところに入るお金が、経済全体を転がしていくんだと思うのです。 みんなが映画館に行けば、設備だってよくなって、いろんな映画を公開してくれるようになるんじゃないのかなあ。


実は、こちらに来て以来こんなことを思うのは、映画だけじゃありません。 バスの検札がないことを幸いに堂々とタダ乗りする人が少なくなかったり、持ってるPCソフトのほとんどが違法コピーだったり、こうしたモラルの低さを目にすることが多い印象を受けています。 映画が高いから、ソフトが高いから、お金がないから、そんな理由でこういうことを繰り返していては、結局悪循環でいつまで経ってもこの国は豊かになれず、三流国家のまま。 EU加盟を夢見ていても、夢で終わるのでしょう。


最初は喜んで借りていた映画のCDですけど、色々考えて反省しました。 これからはちゃんとレンタルショップで借りたり、映画館に行くようにしようと思います。